財産目録とは、預貯金・不動産・保険などの「プラスの財産」と、ローン・借入などの「マイナスの財産」を一覧にまとめた表のことです。難しく考える必要はなく、まずは「どこに・何があるか」を書き出すだけで十分に役立ちます。この記事では、財産目録に書く項目の一覧、作り方の4ステップ、カテゴリ別の記載例までを、はじめての方にも分かるように解説します。
財産目録とは?なぜ作るのか
財産目録の定義
財産目録は、自分が持っている財産をひとつの表に整理したものです。ポイントは、資産(プラス)だけでなく負債(マイナス)も含めて書くことです。
- プラスの財産: 預貯金、不動産、株式・投資信託、保険、車など
- マイナスの財産: 住宅ローン、カードローン、借入金、保証債務など
相続の場面では、家庭裁判所に提出する正式な財産目録(相続財産目録)が必要になるケースもありますが、終活や日常の備えとして作る財産目録に決まった書式はありません。手書きのメモでも、表計算ソフトでも、自分と家族が分かれば形式は自由です。
財産目録を作る3つのメリット
| メリット | 具体的な効果 |
|---|---|
| 家族の負担を減らせる | もしもの時、家族が口座や契約を探し回らずに済む。相続手続きの見落とし・遅れを防げる |
| 自分の資産を把握できる | 使っていない口座やサブスクなど「忘れていた契約」に気づき、整理・節約につながる |
| 相続の準備がしやすくなる | 財産の全体像が見えると、遺言書やエンディングノートの内容も具体的に考えられる |
実際、亡くなった方の口座が後から見つかり、手続きをやり直すケースは珍しくありません。財産目録は「家族への地図」だと考えると、作る目的がはっきりします。
なお、終活全体の進め方から知りたい方は、終活は何から始める?やることリストもあわせてご覧ください。
財産目録に書く項目一覧
プラスの財産
| カテゴリ | 書いておく内容の例 |
|---|---|
| 預貯金 | 銀行名・支店名・口座の種類(普通/定期)・名義 |
| 有価証券 | 証券会社名・支店/コース・主な保有商品(株式・投資信託・NISA/iDeCo) |
| 保険 | 保険会社名・保険の種類(生命/医療/火災など)・証券番号・保険証券の保管場所 |
| 年金 | 公的年金の基礎年金番号の書類の所在・企業年金/個人年金の有無と連絡先 |
| 不動産 | 所在地・種類(土地/建物/マンション)・権利証(登記識別情報)の保管場所 |
| 車・バイク | 車種・ナンバー・車検証の保管場所・ローンの有無 |
| 貴金属・骨董品など | 品名・保管場所(自宅金庫・貸金庫など) |
| 電子マネー・ポイント | サービス名(Suica・PayPay・各種ポイント等)・紐づく電話番号やメールアドレス |
| 暗号資産 | 取引所名・登録メールアドレス(残高やパスワードは書かない) |
| 貸しているお金 | 相手・金額の目安・借用書の有無と保管場所 |
マイナスの財産
| カテゴリ | 書いておく内容の例 |
|---|---|
| 住宅ローン | 借入先の金融機関・完済予定・団体信用生命保険の有無 |
| その他のローン・借入 | 借入先・種類(カードローン・自動車ローン・奨学金等) |
| クレジットカード | カード会社名・ブランド・引き落とし口座(カード番号は書かない) |
| 保証債務 | 誰の・何の保証人になっているか・契約書の保管場所 |
マイナスの財産は書きにくいものですが、相続では負債も引き継ぎの対象になります。一般的には、負債が多い場合に相続放棄などを検討する期限は相続開始を知ってから3か月以内とされており、家族が短期間で全体像を把握できるかどうかが重要になります。負債の扱いなど個別の判断は、司法書士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
見落としやすい項目
次の3つは、家族が特に見つけにくい財産・契約です。意識して書き加えましょう。
- サブスク・定期課金: 動画配信、音楽、アプリ、新聞など。解約されない限り課金が続きます。サービス名と課金経路(どのカード・口座か)を書きます
- デジタル資産・ネット専業の口座: ネット銀行・ネット証券は紙の通帳がなく、存在自体に気づかれないことがあります。詳しい整理方法はデジタル終活の記事で解説しています
- 貸金庫・レンタル収納: 契約している金融機関・場所と、鍵やカードの保管場所
財産目録の作り方【4ステップ】
ステップ1: 財産の種類ごとに情報を集める
いきなり表を作ろうとせず、まず手元の「モノ」を集めます。通帳、キャッシュカード、保険証券、年金関係の郵便物、カードの利用明細、固定資産税の納税通知書などを1か所に集めると、自分が何を持っているかが自然に見えてきます。1日で終わらせる必要はありません。「今日は銀行関係だけ」のように、カテゴリごとに進めるのが続けるコツです。
ステップ2: 「どこに何があるか」を書き出す
集めた情報を、カテゴリごとに書き出します。ここで大切なのは、金額の詳細は必須ではないということです。残高は日々変わりますし、正確な金額がなくても「三菱UFJ銀行の〇〇支店に普通口座がある」と分かるだけで、家族は手続きを進められます。金額を書きたい場合は「約100万円(2026年7月時点)」のように、時点を添えたおおよその数字で十分です。
ステップ3: 表にまとめる
書き出した情報を、一覧の表に整理します。1行に「カテゴリ/名称(銀行名・会社名)/内容/関係する書類の保管場所/メモ」を書く形が使いやすいです。
| カテゴリ | 名称 | 内容 | 保管場所・メモ |
|---|---|---|---|
| 預貯金 | 〇〇銀行 △△支店 | 普通口座(年金の受取口座) | 通帳は寝室の引き出し |
| 保険 | 〇〇生命 | 終身保険 証券番号×××× | 証券は書斎のファイル |
| 負債 | 〇〇銀行 | 住宅ローン(団信あり) | 契約書は同じファイル |
| サブスク | 〇〇(動画配信) | 月額課金・〇〇カード払い | 解約はアプリから |
ステップ4: 定期的に見直す・更新する
財産目録は一度作って終わりではありません。口座の解約、保険の見直し、サブスクの追加など、暮らしの変化に合わせて内容も変わります。年に1回(誕生日や年末など覚えやすい日)の見直しを習慣にすると、常に「使える地図」の状態を保てます。作成日と更新日を目録に書いておくと、家族がどの時点の情報かを判断できます。
財産目録を作るときの注意点
暗証番号・パスワードは書かない
財産目録には、キャッシュカードの暗証番号、ネットバンキングのパスワード、カード番号の全桁などの秘匿情報は書かないのが原則です。目録が第三者の目に触れた場合のリスクが大きいためです。財産目録の役割は「どこに何があるか」を示す地図に徹すること。所在さえ分かれば、正式な手続き(相続手続きなど)は本人確認書類によって進められるのが一般的です。
保管場所を決めて、家族に伝える
せっかく作った目録も、見つけてもらえなければ意味がありません。
- 自宅の分かりやすい場所(重要書類のファイルなど)に紙で保管する
- 保管場所そのものを、信頼できる家族に口頭で伝えておく
- エンディングノートを作っている場合は、目録の保管場所をノートに書いておく
「中身を全部見せる」必要はまだありません。「ここに一覧がある」とだけ伝わっていれば十分です。
財産目録の書式・テンプレート
財産目録に法律上の決まった書式はないため(家庭裁判所提出用など一部の手続きを除く)、自分が続けやすい方法を選びましょう。
| 方法 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| 手書き(ノート・市販のエンディングノート) | パソコンが苦手な方 | 書き直し・更新がやや手間 |
| 表計算ソフト(Excel・スプレッドシート) | 自分で項目を調整したい方 | 印刷して紙でも残すと安心 |
| 専用ツール | 項目を考えるのが面倒な方 | データの保存先(端末内かサーバーか)を確認する |
たとえば無料ツールの「暮らしの台帳」のように、銀行・カード・保険・サブスクなどカテゴリがあらかじめ用意されていて、入力した内容をPDFで印刷できるものを使うと、項目の抜け漏れを防ぎやすくなります。どの方法でも、最終的に紙で残すことが大切です。デジタルのままでは、家族が開けない可能性があるからです。
まとめ: 完璧を目指さず「所在の地図」から始める
財産目録づくりは、全財産を正確に評価する作業ではなく、「どこに何があるか」を家族に残す作業です。金額は後回しでかまいません。今日、通帳と保険証券を1か所に集めることから始めれば、それがもう最初の一歩です。なお、相続税の試算や遺産分割など個別の判断が必要な場面では、税理士・司法書士などの専門家への相談も検討してください。